September 21, 2022
再エネ拡大にインパクトを与えるか、“地域主導プロジェクト”の高い価値
https://solarjournal.jp/sj-market/46680/ 再エネ拡大にインパクトを与えるか、“地域主導プロジェクト”の高い価値 2022/09/17 脱炭素は、宣言から確実な実施が求められる時代に移った。前回のコラムでは、再エネ拡大に好影響が期待される地方金融機関による再エネ発電会社の設立を取り上げた。政府の脱炭素ロードマップや脱炭素先行地域の要件などで繰り返される“地域主導の脱炭素”は、決して単なるお題目ではなく、確実で現実的なソリューションとして、今後、さらに注目されることになる。今回のコラムでは、地銀の発電事業のフォローに加えて、他の実例として相模原市でのバイオガスプロジェクトを紹介したい。 地銀の発電事業参入のインパクト 前回、紹介した山陰合同銀行の発電子会社「ごうぎんエナジー」について、同行の山崎頭取が日経新聞のインタビューに応じている。山崎氏は、山陰(島根、鳥取)の40自治体と再エネ発電について協議を行ったと明かした。反応は良好ということで、脱炭素先行地域に連携して応募したいという声も複数上がっているという。 総投資額を100億円上限で考えていることも示し、「山陰地方を再エネ発電の先進地」にしたいと地域主導の意気込みを語っている。地銀の一歩進んだ動きは、地域に対してすでによい影響を及ぼし始めている。 同時期に発表のあった茨城の常陽銀行、長野の八十二銀行に続いて、8月下旬には群馬銀行が、PPAやソーラーシェアリングを行うための事業会社「かんとうYAWARAGIエネルギー」を足利市に立ち上げた。地銀では銀行法改正に伴う4つ目の発電事業会社である。このケースでは、地元の再エネ施工業者などとの共同出資という特徴があり、リリースにPPA(オンサイト、オフサイト)のスキーム図も添えられている“実務型”である。 (「かんとうYAWARAGIエネルギー㈱」のPPA事業 出典:㈱サンヴィレッジ) 地域の再エネ事業の実現のネックの一つはファイナンスである。地銀の発電への直接参画は、今後の各地域での再エネ開発に大きなプラスのインパクトを与える可能性がある。 神奈川県相模原市に見る再エネプロジェクト 地域主導の動きは、さらに活発になっている。横浜市、川崎市という100万都市を抱える神奈川県の3番目の70万都市、相模原市でも、新しい再エネのプロジェクトが誕生している。食品廃棄物を利用した湿式発酵方式によるバイオガス発電プラントで、仕様は以下のとおりである。 仕様:処理量:約50トン/1日発酵方式:湿式中温発酵発電出力:487kW総事業費:12億9,000万円 事業主体は、SPC(特別目的会社)の「さがみはらバイオガスパワー㈱」である。 (「さがみはらバイオガスパワー...